中小企業や個人が発明考案を実施化する際に資金面で支援し、優れた発明を世に送り出し、産業の発展に寄与するため「発明研究奨励金交付事業」を行っています。
中小企業や個人の発明考案の試験研究で、特許・実用新案として登録済みであり、実施化に助成が必要と認められるものを対象とします。
奨励金は原則として試作や試験研究に要する直接経費で、1件当たり100万円を限度としています。
募集期間は5月~7月、交付は11月を予定しています。
発明研究奨励金とは
世に出る前の発明を評価して支援する
発明研究奨励金交付事業は、未だ商品化されていない技術を評価し支援する、いわば“夢を形にする”制度です。開発資金に乏しい中小企業や個人の発明・考案を実用化する際の経費の一部を補助して製品化の後押しをすることを目的に、昭和55年度(1980年)に協会の3つ目の柱として創設されました。平成22年12月に公益財団法人となってからは、発明普及事業の一つとして「発明研究奨励金交付事業」と位置づけられました。本奨励金は、特許を具体化するための試作研究を補助するもので、1件100万円を限度に交付しています。
平成元年度より日刊工業新聞社、平成13年度より日本弁理士会の後援をいただいています。募集用ポスタ-、パンフレットに使用されているイラストは、故笹井達二実行委員長(平安伸銅株式会社創業者で突っ張り棒の発明者)によりデザインされたものです。募集は5月から7月に行い、その後、審査を経て例年11月に交付式を協会の会議室で挙行しています。
審査は、加藤忠郎実行委員長(第 23 回/平成14年度より現在に至る)のもと実行委員会で予備審査を行い、専門委員および審査委員は、文部科学省、(地独)東京都立産業技術研究センター、日刊工業新聞社、(公社)日本技術士会、弁理士、技術士、元大学教員の方々などにお願いしています。実績など目に見える成果で評価するのではなく、未だ商品化されていない技術を審査することは大変難しいところですが、専門的かつ総合的な評価にもとづき厳正な審査となるように努めています。
応募内容は、中小企業の新規発明や改良技術、日々の改善提案より生まれた身近なアイデアなどさまざまで、近年は、時代の先端をいくようなハイテク技術の応募も目立ちます。
交付を受けた方には、半年ごとの中間報告、完了後の完了報告と、その1年後にも状況報告の提出を求めています。また、奨励金の交付を受けた先を実際に訪問し、開発の現場を視察するフォロー調査を実施し、交付金が効果的に使用されているかの確認、製品化などで困っていることがあれば相談に応じると共に販路開拓につながる情報提供などのアドバイスやフォロ-アップを行っています。
発明研究奨励金交付先
(会社名、役職等は交付当時のもの)
第44回 令和6年度
「⾦属粒⼦」 関根 順⼦ 有限会社ナプラ 代表取締役 開発したスズ(Sn)-銅(Cu)⾦属間化合物(IMC)を活⽤した接合材は、顧客での実装評価と信頼性試験で良好な成績を収めている。今後、製品ごとの特性評価を実施し、⾼温耐性が求められるパワー半導体向けなど、IMC接合材の事業拡⼤につなげる。 |
「除排雪判断⽀援システムおよびプログラム、道路管理⽅法」葛⻄ 章史 (個⼈) 情報通信技術(ICT)と⻘森市営バスが公開する遅れ時間などのオープンデータを活⽤し、データに基づいた効率的・効果的な除排雪判断⽀援システム開発のためのプログラムを試作する。同システムは⻘森以外での活⽤も期待できる。 |
「エナメル線の製造⽅法」⽥中 友則 礎電線株式会社 代表取締役社長 複数のカーボンナノチューブ(CNT)の集合体である導体から20-1000㍍程度の⻑尺のCNTエナメル線の製造を実現した。軽い、⾼温下でも電気抵抗が増加しない特徴を⽣かし産業・航空宇宙分野への応⽤が期待される。モーター、⾮接触コイルなどへの試料提供を始めている。 |